「練習ではできているのに、試合になると動けなくなる」
「試合直前に何を練習させればいいのか迷う」
中学女子バスケットボールの指導者や保護者の方から、このような悩みをよく耳にします。
中学生、特に女子選手は、身体の成長期であると同時にメンタル面も繊細な時期です。
そのため、試合直前の過ごし方が勝敗に大きく直結します。
本記事では、試合1週間前から前日までの具体的な練習メニューと、チームを勝利へ導くための調整法(ピーキング)について解説します。
試合1週間前:強化から調整への切り替え
試合の1週間前は、体力レベルを維持しながら疲労を抜き、戦術の完成度を高める「テーパリング」を開始する時期です。
テーパリングとは
専門用語で「テーパリング」とは、試合に向けて練習量(ボリューム)を徐々に減らしつつ、練習の強度(インテンシティ)は保つことで、疲労を回復させパフォーマンスを最大化させる調整法です。
中学女子の場合、急激に練習を軽くしすぎると身体の感覚が鈍ることがあるため、以下のバランスを意識してください。
- 練習時間: 通常の70〜80%程度に短縮
- 練習強度: 試合と同じスピード・強度を維持
具体的な練習メニューのポイント
- スクリメージ(5対5)の質を高める
漠然とゲーム形式を行うのではなく、特定のシチュエーションを設定します。- 「残り2分、2点負けている状態からのオフェンス」
- 「ファウルゲームの対応」
- 「相手がゾーンディフェンスをしてきた場合の攻略」
これらを反復し、選手間の共通理解を深めます。
- スカウティング情報の共有
対戦相手が決まっている場合、相手のエースの特徴や得意なプレイの対策を確認します。
「誰が誰を守るのか」を明確にすることで、選手の不安を取り除きます。

言葉だけで説明しても、中学生にはなかなか伝わらないことが多いですよね。
視覚的に見せることで、子供たちの理解スピードが劇的に変わります。
試合3日前:短時間集中と確認作業
試合3日前からは、疲労を蓄積させないことが最優先です。
練習時間はさらに短くし、集中力を高めるメニューに絞ります。
シュート練習の徹底
この時期に新しいフォーメーションを覚えるのは避けてください。
混乱を招くだけです。
代わりに、最も基本となるシュート練習に時間を割きます。
- ゲームライク・シューティング
足を止めて打つシューティングではなく、試合中の動き(カッティングやドリブルからのプルアップ)を取り入れたシュート練習を行います。 - フリースローの重要性
中学バスケでは、フリースローの確率が勝敗を分けるケースが多々あります。
心拍数が上がった状態でフリースローを打つ練習を取り入れ、本番のプレッシャーを想定します。
ウォークスルーによる戦術確認
「ウォークスルー」とは、実際に走らず、歩きながらポジションや動きを確認する練習です。
ディフェンスのローテーションや、オフェンスのスペーシング(選手間の距離感)を、声を出しながら確認します。
身体的な負荷をかけずに脳を整理できるため、直前の練習として非常に有効です。
身体のケア

ストレッチだけでは取りきれない『筋肉の張り』には要注意です。
お風呂上がりに、ながら作業でコロコロするといいですよ。
フォームローラー(トリガーポイントなど)
筋膜リリースは怪我予防と疲労回復の定番です。
中学生でも自宅で簡単に扱えるため、コンディション調整に最適です。
ここがポイント:
自分の体重を使って、太ももやふくらはぎの疲れを効率よくほぐせます。
試合当日に身体を軽くするために必須のアイテムです。
試合前日:最高のメンタルと身体を作る
いよいよ試合前日です。
「何か特別なことをしなければ」と焦る必要はありません。
いつも通りのルーティンを大切にし、良いイメージを持って練習を終えることが重要です。
練習メニューは「確認」と「感覚」重視
前日の練習は1時間〜1時間半程度で切り上げるのが理想的です。
- ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)
関節の可動域を広げ、神経系を刺激します。 - レイアップとゴール下のシュート
確実に決まるシュートを多く打ち、「シュートが入る」というポジティブな感覚を視覚と手に残します。 - ハーフコートでのフォーメーション確認
ディフェンスをつけず(あるいは軽く流す程度で)、パスのタイミングと動き出しだけを確認します。
メンタル面のケア:ポジティブな声かけ
中学女子選手にとって、指導者や周囲の言葉はメンタルに大きく影響します。
前日は、修正点(ダメ出し)を伝えるのは避けましょう。
「今の動き良かったよ」「明日はこれができれば勝てる」といった、自己肯定感を高める「ポジティブフィードバック」を徹底してください。
自信を持たせてコートに送り出すことが、指導者の最大の役割です。
食事と睡眠:保護者ができるサポート
練習以外の時間、特に家庭での過ごし方もコンディション作りの鍵となります。
カーボローディング(糖質摂取)
試合前日からは、エネルギー源となる炭水化物(ご飯、うどん、パスタなど)を多めに摂ることを推奨します。
これを「グリコーゲンローディング」と呼びますが、中学生の場合は極端な食事制限や増量は消化不良の原因になるため、「消化の良い炭水化物を少し多めに」程度が適切です。
※脂っこいもの(揚げ物など)や生ものは、消化に時間がかかったり食あたりのリスクがあるため、前日は控えてください。

試合当日の朝、緊張でご飯が喉を通らない子もいますよね。
無理に食べさせるとお腹を壊す原因になるので、私は羊羹(ようかん)をカバンに忍ばせています。
スポーツようかん
緊張でご飯が喉を通らないけれど、ゼリーだけだとスタミナ切れが心配…という子には『スポーツようかん』がおすすめです。
甘いものを一口食べると、ふっと緊張がほぐれる効果もありますよ。
ここがポイント:
消化吸収が良いだけでなく、汗で失われる塩分も同時に補給できる優れもの。
常温で保存でき、ポケットに入れておけばハーフタイムや試合の合間にサッとエネルギーチャージが可能です。
睡眠の質を確保する
成長ホルモンの分泌と疲労回復のため、最低でも7〜8時間の睡眠が必要です。
試合前夜は緊張で眠れない選手もいますが、「布団に入って目を閉じてリラックスするだけでも効果がある」と伝え、安心させてあげてください。
スマホのブルーライトは睡眠の質を下げるため、就寝1時間前からは使用を控えるよう指導しましょう。

『早く寝なさい!』と怒ると余計に眠れなくなってしまうもの。
リラックスグッズを渡して『これ使ってゆっくりしな〜』と声をかけるだけで、子供の安心感は段違いです。
めぐりズム 蒸気でホットアイマスク
薬を使わずにリラックス効果を高め、入眠をサポートします。
スマホで疲れた目を休める意味でも現代の中学生に効果的です。
ここがポイント:
目元を温めるだけで、驚くほどリラックスできます。
遠征先のホテルや、緊張して眠れない前夜の救世主です。
やってはいけない「NG行動」
最後に、試合直前に避けるべき行動をまとめます。
- 過度な追い込み(走り込み)
「気合いを入れる」ために前日に激しいダッシュを繰り返すのは、疲労を残すだけで逆効果です。 - 新しいことへの挑戦
今まで練習していないセットプレイやディフェンスを急に導入しても、ミスが増えて自信を失うだけです。 - 長時間の手術(ミーティング)
長すぎるミーティングは集中力を削ぎます。
要点を絞り、短時間で切り上げましょう。
まとめ:準備が自信を生む
中学女子バスケにおいて、試合直前の練習は「上達するため」ではなく「持っている力を100%発揮できるようにするため」のものです。
- 1週間前: 実戦形式で課題を修正しつつ、練習時間を少し減らす。
- 3日前: シュートと戦術確認を中心に、疲労を抜く。
- 前日: 良いイメージ作りとコンディション調整に徹する。
この流れ(ピーキング)を意識することで、選手たちは心身ともに充実した状態で試合に臨むことができます。
「これだけ準備したんだから大丈夫」と選手自身が思えるような、質の高い準備期間を作っていきましょう。
注:この記事はAmazonアソシエイト・プログラムに参加しています。ゆう住宅設計室は、適格販売により収入を得ています。


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