中学女子バスケットボール部の指導において、「Aチーム(レギュラー)とBチーム(控え・初心者)の実力差がありすぎて、同じメニューが組めない」という悩みを持っていませんか?
特に公立中学校では、ミニバス経験者と中学から始めた初心者が混在することが多く、この「実力差」がチーム運営の大きな壁となります。

私も最初は、Aチームの練習強度を落とすべきか、Bチームに無理をさせるべきか、毎日のメニュー作りに頭を抱えていました……。
でも、考え方を変えるだけで練習の景色が変わりました!
しかし、Bチームの成長こそが、Aチームを強くし、チーム全体の勝利につながる鍵です。
今回は、実力差があるチームでも全員が上達し、一体感を持って戦うための練習方法と指導のポイントを徹底解説します。
実力差があるチーム指導で大切な「3つの心構え」
具体的な練習メニューに入る前に、指導者が持っておくべきマインドセット(心構え)があります。
ここがブレていると、どんな練習をしてもチームは分裂してしまいます。
1. Bチームは「Aチームの練習相手」ではない
Bチームを単なる「Aチームのディフェンス役」として扱っていませんか?
中学生女子は非常に敏感です。
「自分たちは期待されていない」と感じた瞬間、Bチームのモチベーションは低下し、部全体の空気が悪くなります。

女子中学生のアンテナは本当に鋭いです。
先生が『Aチームしか見ていない』と感じた瞬間、Bチームだけでなく、実はAチームの子たちも『次は自分が・・・』と不安になり、チーム全体が委縮してしまうんですよね。
結果としてAチームも質の高い練習ができなくなります。
「Bチームが強くなれば、Aチームはもっと強くなれる」というメッセージを常に発信し続けましょう。
2. 「教えること」が最大の学びである(ラーニングピラミッド)
実力差がある場合、上手い子が初心者に教える場面を意図的に作りましょう。
学習定着率を示す「ラーニングピラミッド」では、他人に教えることが最も学習効果が高い(90%)とされています。
Aチームの選手がBチームに言語化して教えることで、Aチームの選手自身のバスケIQも飛躍的に向上します。
3. コート内では平等を意識する
プレータイムに差が出るのは仕方ありませんが、練習中の「声出し」や「集合の早さ」、「用具の片付け」などの規律面では、AもBも完全平等、あるいは上級生こそ率先して行う文化を作りましょう。
これがチームの一体感を生みます。
【練習構成】実力差をカバーする3つのアプローチ
練習時間の限られた中学部活動において、効率的にレベルアップするための練習構成を紹介します。
アプローチ1:別メニューで基礎を徹底する(分離練習)
時間配分:全体の30〜40%
無理に全て一緒に行う必要はありません。
特にファンダメンタル(基礎)に関しては、レベルに合った負荷が必要です。
- Aチーム: 強度とスピードを重視したハンドリング、複雑な1対1、戦術確認。
- Bチーム: 正しいフォーム作り、止まった状態でのドリブル・パス、レイアップシュートの確率向上。
【ポイント】
コートを半面ずつ使うか、ステージやコート外も活用します。
指導者はどうしてもAチームを見がちですが、この時間はあえてBチームに指導者がつき、Aチームにはキャプテン中心に自主管理させるのも有効です。
Bチームに「先生は私たちも見てくれている」という安心感を与えられます。
アプローチ2:合同練習で「引き上げ効果」を狙う(混合練習)
時間配分:全体の30〜40%
AとBを混ぜて行う練習です。
ここでは「ペア作り」が重要になります。
■ メンター制度(ペア練習)
Aチームの選手とBチームの選手でペアを組みます。
- 対面パス・シューティング: AがBのフォームをチェックする。
- 2メン・3メン: AがBをリードしてパスを繋ぐ。
上手い選手のスピード感やパスの強さを肌で感じることは、Bチームにとって一番の刺激になります。
一方、Aチームには「Bチームの子が取れるパスを出す(味方に合わせる)」という、ゲームメイクに必要なスキルが求められます。
■ ハンデ付きスクリメージ(ゲーム形式)
実力差があるまま5対5をしても、Aチームが一方的に勝つだけで練習になりません。
独自のルール(ハンデ)を設けましょう。
- Bチームの得点は2倍(または3倍): これにより、Aチームは「絶対に点を取られてはいけない」というプレッシャーの中で守る練習になります。
- Aチームはドリブル回数制限(3回まで): パスとオフボールの動き(ボールを持っていない時の動き)の質を高める練習になります。
- Aチームは「利き手」の使用禁止: レイアップやパスを逆の手で行う制約をつけます。

ハンデをつける時は『Bチームを助ける』ではなく、『Aチームへの挑戦状(レベルアップ課題)』として伝えるのがコツです!
そうするとAチームは意地になって守りますし、Bチームも本気で点を奪いにいきますよ。
アプローチ3:部分的な合同ドリル
スキル差があっても成立しやすい、あるいは差があるからこそ成立するメニューです。
■ アウトナンバー練習(2対1、3対2)
- オフェンス:Bチーム / ディフェンス:Aチーム
Bチームは数的有利の状況で落ち着いて攻める練習になります。
Aチームは数的不利を守り切る、ハードなディフェンス練習になります。
■ オールコート・トランジション
体力作りや切り替えの練習は全員で行います。
列の先頭をAチームにし、Bチームがそれを見て真似できるように配置します。
ここで重要なのは「声」です。
技術に関係なく誰でも出せる「声」でチームを盛り上げられた選手を、A・B関係なく評価してください。
Bチームのモチベーションを維持する具体的な工夫
女子中学生の指導において、メンタル管理は技術指導以上に重要です。
1. 「個人の目標」を細分化する
Bチームの選手に「Aチームのようになれ」と言っても、差が大きすぎると絶望してしまいます。
- 「今月はレイアップを左手で決められるようになる」
- 「ディフェンスの構えだけは誰にも負けない」など、他人との比較ではなく、過去の自分との比較で評価できる目標設定をさせましょう。
2. 練習試合(B戦)の映像分析
Aチームの試合だけでなく、B戦のビデオも必ず撮影し、ミーティングで取り上げてください。
「ナイスプレー」をみんなの前で褒めることで、自己肯定感が高まります。
3. Aチームへの昇格チャンスを可視化する
「いつか上手くなったら」という曖昧な基準ではなく、「フリースローが10本中7本入ったらAの練習に合流」「シャトルランで〇〇回いったらベンチ入り検討」など、明確な数値基準を設けると、目標に向かって努力しやすくなります。
まとめ:実力差は「チームの深み」に変わる
中学女子バスケにおいて、AチームとBチームの実力差があることは決して悪いことではありません。
それは「伸びしろ」がチームの中にたくさんあるということです。
- Aチームは、Bチームに教えることでリーダーシップと基礎理解を深める。
- Bチームは、Aチームを目標にし、チームの底上げを担う。
このサイクルが回れば、単なる仲良しグループではない、真に強い「チーム」が生まれます。
指導者の皆さんは、焦らず、しかし情熱を持って、コート上の全員にスポットライトを当ててあげてください。

実力差があるということは、それだけ『伸びしろ』があるということ。
Bチームの子がゴールを決めた瞬間のベンチの盛り上がりは、均一なチームでは味わえない感動があります。
焦らず、みんなで育てていきましょう!
その熱意は必ず選手たちに伝わり、チームを劇的に変えるはずです。



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