
試合を観ていても、とても多いキャッチミス。
部活のスクエアパスに参加して感じたのは、悪いパスではないのに、
すごくキャッチしにくいということ。
パスを出す側がうまくなれば、キャッチミスは減ります。
指導者としてコートに入り、選手たちのパスを受けたとき、「突き指しそうになった」「ボールが手の中で遊ぶような感覚がある」と感じたことはありませんか?
また、選手同士でもキャッチミスが多い場合、それは「取る側」の問題ではなく、「投げる側」のボールの質に問題があるケースがほとんどです。
特に中学女子カテゴリーでは、男子に比べて手のひらが小さく、筋力も発展途上であるため、正しい技術を習得していないと「取りやすい強いパス」を投げることができません。
この記事では、指導現場で実際に感じる「取りにくいパス」の正体を解明し、それを修正するための具体的な指導法と練習メニューを解説します。
1. 「取りにくいパス」の正体とは?
そもそも、なぜパスが取りにくいと感じるのでしょうか。
その原因は大きく分けて2つあります。
原因①:ボールが無回転、またはシュート回転になっていない
最も多い原因がこれです。
取りやすいパスとは、きれいなバックスピン(逆回転)がかかったボールです。
バックスピンがかかると空気抵抗により軌道が安定し、受け手の手のひらに吸い付くように収まります。
一方で、取りにくいパスは以下のような状態です。
- 無回転(ナックルボール): 空中で揺れるため、距離感が掴みにくい。
- 横回転(ジャイロ回転): 手に当たった瞬間に弾かれやすく、突き指の原因になる。
- ドライブ回転(順回転): ドロップしてしまい、足元に落ちる。
原因②:手首のスナップではなく「押し出し」で投げている
筋力が不足している女子選手に多いのが、腕の力だけでボールを押し出す「プッシュパス」です。
スナップ(手首の返し)が効いていないため、初速はあっても終速が極端に落ちたり、逆にコントロールが定まらず至近距離で強すぎるボールになったりします。

スクエアパスは至近距離なのに、無回転で強いパス。
もう脅威でしかありません。
これでは受け手はタイミングを合わせられません。
2. なぜ中学女子選手は良い回転がかけられないのか?
技術的な修正を行う前に、身体的な要因を理解しておく必要があります。
手の大きさと握力の影響
中学生用の6号ボールであっても、女子中学生の手の大きさではボールを片手で鷲掴みできる選手は稀です。
ボールをしっかりと保持できないため、投げる瞬間にボールが手の中で滑り、指先(フィンガーチップ)で最後まで押し切れないことが、回転不足の主因です。
肘(ひじ)の開き
ボールを両手で持つチェストパスの際、脇が開き、肘が外を向いている選手が多く見られます。
肘が開くと、力が外に分散してしまい、ボールに対して真っ直ぐ力が伝わりません。
その結果、無理やり飛ばそうとして左右の手の力が均等にならず、ボールに不規則な横回転がかかってしまいます。
3. 「取りやすい強いパス」に変える3つの技術ポイント
ここからは、具体的な改善指導のポイントを解説します。
ポイント①:ボールの持ち方は「おにぎり型」ではない
初心者に教える際、「親指と人差指でおにぎり(三角形)を作る」と指導することがありますが、修正が必要です。
親指同士が近すぎると、手首の可動域が制限されます。
- 改善策: ボールの横を持つイメージで、親指は少し離す(ボールの縫い目(ライン)に沿って指を置くイメージ)。
- 確認事項: 手のひら(掌)がべったりボールにつかないようにし、指の腹で支える「フィンガーパッド」を意識させます。
ポイント②:親指を下に向ける「サムダウン」
パスを放った後のフォロースルー(投げ終わった形)を確認してください。
手のひらが外側を向き、親指が下を向く「サムダウン(Thumb Down)」の状態になっていますか?
- NG: 手のひらが床を向いている(手首を単に下に折っただけ)。
- OK: 手の甲同士が向き合い、親指が地面を指している。
これを行うことで、親指が最後までボールを押し切り、強力なバックスピンがかかります。
これを「プロネーション(回内運動)」といいますが、選手には「投げ終わったら親指を床に刺す!」と伝えると分かりやすいです。
ポイント③:胸から直線ではなく「みぞおち」から円を描く
多くの指導現場で「パスは胸から最短距離(直線)で出しなさい」と教えられますが、実はこれが女子選手のパスを飛ばなくさせている最大の原因です。
静止状態から直線の動きだけでボールを飛ばそうとすると、初動で筋肉が硬直(力み)し、手首もしなやかに使えません。
筋力が発展途上の女子選手は、「回転のエネルギー」を使いましょう。
- 構える位置: 胸の前ではなく、少しリラックスした「みぞおち」の高さにセットします。
- 動きのイメージ: みぞおちから前方へ、縦に小さな円(サークル)を描くようにボールを動かしてリリースします。
みぞおちからクルッと小さくボールを回すことで、肩甲骨周りの筋肉が緩み、腕がムチのようにしなります。
この「円運動のリズム」を利用することで、余計な力を使わずに、驚くほど鋭いスナップの効いたボールが投げられるようになります。
4. 劇的にパスが改善する練習メニュー
日々の練習に組み込める、効果的なドリルを紹介します。
①仰向けスナップ(家でもできる練習)
手首と指先の感覚を養う基礎練習です。
- 選手は床に仰向けに寝る。
- ボールを片手で持ち、肘を床につけず、腕を天井に向けて真っ直ぐ伸ばす。
- 手首のスナップだけでボールを真上に投げる。
- きれいなバックスピンをかけ、同じ位置でキャッチする。
目標: ボールの縫い目がきれいに見える回転を目指す。左右両手で行う。
②壁パス(近距離・全力)
壁に向かって、あえて至近距離(1m〜1.5m)から全力でチェストパスを打ち込みます。
- 目的: 速いリリースの獲得と、強いインパクトの練習。
- 注意点: 足を止めるのではなく、パスを出す瞬間に一歩踏み込む(ステップイン)。
- 回数: 30秒間で何回パスができるかを競うと、スピードと正確性が同時に養われます。
③対面・片手プッシュパス
2人組で向かい合い、片手だけでパス交換を行います。
- 右手でボールを持ち、左手はボールに添えない(腰に当てるなど)。
- 肘を曲げた状態から、腕の伸びと手首のスナップだけで相手にパス。
- この時、必ず「サムダウン」を意識させる。
効果: 利き手ではない左手の強化にも最適です。お辞儀投げの癖を矯正できます。(上半身を前に倒す勢いだけでボールを押し出してしまう悪い癖)
④メディシンボール・パス
もし学校にメディシンボール(重いボール)がある場合、1kg〜2kg程度の軽いものを使い、チェストパスを行います。
- 目的: 通常のボールより重いものを扱うことで、手先だけでなく、下半身から体幹、腕へと力を連動させる感覚を養います。
- 注意: 重すぎるとフォームが崩れるので、中学生女子なら1kg〜2kgで十分です。
【Amazon商品紹介】
中学生女子の場合、硬いゴム製ではなく、突き指のリスクが少ない『ソフトタイプ』がおすすめです。重さは無理なく扱える1.5kg〜2kgから始めるのがベストです。
5. 指導者がチェックすべき「音」の違い
良いパスか悪いパスかは、目をつぶっていても分かります。
それは「キャッチ音」です。
- 悪いパス: 「ボスっ」「ガシャっ」という鈍い音。ボールが手の中で暴れています。
- 良いパス: 「パシッ!」という乾いた高い音。
練習中、選手たちに「今の音はどうだった?」と問いかけてみてください。
選手自身が「良い音を鳴らそう」と意識するだけで、回転への意識が変わります。
まとめ:パスの質が変わればチームが変わる
「パスが取りにくい」という悩みは、単なるキャッチミスの問題ではありません。
質の悪いパスは、次のシューターのリズムを崩し、ドライブの初速を遅らせ、結果としてチーム全体のオフェンス力を下げてしまいます。
逆に言えば、「取りやすい強いパス」が投げられるようになれば、キャッチミスによるターンオーバーが減るだけでなく、シュート成功率も向上します。
- ボールの持ち方(フィンガーパッド)
- フォロースルー(サムダウン)
- 回転の意識(バックスピン)
まずはこの3点を徹底して意識させてみてください。
パスの回転が変われば、子供たちのバスケットボールは間違いなく一段階レベルアップします。
注:この記事はAmazonアソシエイト・プログラムに参加しています。ゆう住宅設計室は、適格販売により収入を得ています。


コメント