
練習試合は勝てるけど、試合になるとクラブチームの子が出るので、勝てない。
何てことよくあります。
部活を一生懸命頑張っているのに、試合で勝てないのは悔しいですよね。
はじめに:中学女子バスケ部が直面する「クラブチーム勢」という壁
現在の中学女子バスケットボール界では、学校の部活動だけでなく、地域のクラブチームで活動する選手が増えています。
公式戦で対戦する際、「相手にクラブチームの子がいる」というだけで、選手たちが萎縮してしまうケースは少なくありません。
クラブチームに通う選手は、専門的なコーチングを受け、練習量も豊富な傾向にあります。
しかし、バスケットボールは5対5で行うスポーツです。
個人のスキルで劣っていても、「正しいマンツーマンディフェンスの仕組み」と「賢い戦術」を組み合わせれば、十分に勝機は見出せます。
本記事では、中学バスケのルール(ゾーンディフェンス禁止)を前提に、格上の選手を抑え込み、チームとして勝利を掴むための具体的な対策を解説します。
1. 【前提条件】中学バスケは「マンツーマン」が絶対ルール
まず、対策を考える上で避けて通れないのが、JBA(日本バスケットボール協会)が定める「マンツーマンディフェンス推進制度」です。
15歳以下のカテゴリー(U15)では、選手の個々の技術向上を目的に、ゾーンディフェンスが禁止されています。
もし試合中にゾーンディフェンスとみなされる守り方をすると、「コミッショナー」から警告を受け、最終的には相手にフリースローが与えられるなどのペナルティが発生します。
つまり、対策の軸は「いかに正しく、かつ強力なマンツーマンを遂行するか」に絞られます。
2. ディフェンス対策:エースに「仕事をさせない」3つの鉄則
クラブチームのエース級の選手に対しては、普通の守り方では通用しません。
以下の3つのステップで組織的に対応します。
① 「ディナイ」でボールを持たせない
最も効果的なのは、その選手に「一度もボールを触らせない」ことです。
- やり方: 相手とパスの出し手の間に手を入れ、パスコースを遮断します(これを「ディナイ」と呼びます)。
- ポイント: クラブチームの選手は、ボールを持てば1対1を仕掛けてきます。
しかし、ボールを持つ前の「もらう動き」に対して常にプレッシャーをかけ続ければ、フラストレーションを溜めさせることが可能です。
② 「ヘルプサイド」のポジションを深く取る
マンツーマンであっても、自分のマークマンだけを見ていれば良いわけではありません。
- やり方: ボールから離れた位置にいる味方は、ゴール付近(ペイントエリア)まで寄り、相手エースがドライブ(ドリブル突破)してきた際の壁になります。
- ポイント: 「抜かれたら終わり」ではなく、「抜かせて、ヘルプで止める」という組織的な意識を共有します。
③ 「トラップ(ダブルチーム)」の活用
ボールを持たれてしまった場合、特定のエリアで2人で囲む「トラップ」を仕掛けます。
- やり方: コートの四隅(コーナー)や、サイドライン際に相手が追い込まれた瞬間、近くの味方が一気に間を詰め、2人でプレッシャーをかけます。
- 注意点: これはゾーンではなく、あくまでボールマンに対する激しいマーク(マンツーマンの延長)として行います。
3. オフェンス対策:相手の「強み」を削る攻撃
守備だけでなく、攻め方(オフェンス)でも相手のクラブ選手にプレッシャーをかけることができます。
① クラブ選手を「守備で疲れさせる」
エース級の選手は、攻撃に力を温存したいと考えていることが多いです。
- やり方: あえて相手のエースが守っている選手を攻撃の起点にします。
スクリーン(壁を作るプレー)を使い、その選手に常に動かざるを得ない状況を作ります。 - 狙い: 守備で体力を削ることで、後半戦の相手のシュート精度やドライブのスピードを確実に落とすことができます。
② 24秒を使い切る「スローテンポ」な展開
相手が速攻を得意とするクラブチームの場合、こちらが早い展開でシュートを打つと、相手の攻撃回数も増えてしまいます。
- やり方: パス回しを増やし、ショットクロック(24秒)をギリギリまで使って攻めます。
- 狙い: 試合全体の総ポゼッション数(攻撃回数)を減らすことで、番狂わせが起きやすい展開に持ち込みます。
4. メンタル対策:「名前負け」を克服する
中学女子の試合では、技術以上に「気持ち」がスコアに直結します。
- 「20点取られてもOK」という割り切り:
すごい選手を「0点」に抑えるのは不可能です。
指導者やキャプテンは、「20点取られるのは想定内。その代わり、他の選手には打たせない。20点取られても、こちらが21点取れば勝ち」という具体的なマインドセットを伝えましょう。 - ミスに対する声掛け:
クラブ選手の激しいプレッシャーでミスが起きた時、チーム内で責め合うのが最悪のパターンです。
「今のプレッシャーは凄かった。次はこう外そう」と、具体的な改善策を即座に共有します。
5. 具体的練習メニューの提案
試合で即実践できる、対クラブ選手用のドリルを紹介します。
- 激しいディナイの1対1:
オフェンスはボールをもらうだけ、ディフェンスは絶対に触らせないという3秒〜5秒の限定練習を繰り返します。 - 3メン・2ディフェンス(ヘルプの意識付け):
あえてディフェンスが1人少ない状況で練習し、誰がボールに行き、誰がカバーに回るかの判断スピードを養います。 - クローズアウトの徹底:
離れた位置からボール保持者へ距離を詰める際、最後は細かいステップ(スタッターステップ)で止まり、ドライブを抜かれない練習を徹底します。
まとめ:組織のマンツーマンで「個」に打ち勝つ
中学女子バスケにおいて、クラブチームで磨かれた個人のスキルは確かに脅威です。
しかし、バスケットボールは5人の連動で戦う競技です。
- ルールに則った「正しいマンツーマン」を理解する。
- ディナイでボールを持たせず、ヘルプで突破を防ぐ。
- 攻撃では相手エースを動かし、体力を削る。
- 名前負けせず、40分間チームとして戦い抜く。
これらを徹底すれば、個人の技術差をチーム力で埋め、勝利を手繰り寄せることができます。
相手が誰であっても、自分たちのバスケットを信じて戦いましょう。


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